平成18年度の診療報酬改定による下げ幅は過去最高の3.16%とされたことは周知の通りです。
マクロ的には歯科の医療費は国民医療費約32兆円弱のうち約2.5兆円であり、全体の一割にも満たない割合ですが、歯科の診療所にとってはさらに厳しい経営への影響が懸念されています。
政府与党の関係閣僚を含めた協議にもかかわらず、今回から改定率は政府が決め、中医協は個々の単価だけを決める仕組みに変わったことで、たったの15分で決着したといわれています。
中央社会保険医療協議会(中医協)を舞台にした診療報酬改定をめぐる例の日歯贈収賄事件が発端となって診療報酬改定のルールを変えさせたといわれれば、多くの歯科医師の方は何とも口惜しい思いをもたれることでしょう。
これまで外科的治療が重視されてきましたが、最近の診療報酬改定では、虫歯や歯周病を防ぐため継続的に口腔内の衛生状態を指導する項目の単価が引き上げられるなど、内科的治療も見直しされてきていました。
今回は全体の小児医療の見直し強化の流れの影響や技術的な重要度・難易度や治療必要時間等を勘案した見直しが図られました。
「かかりつけ歯科医初診・再診料」の廃止、指導管理料の引き下げなどは、診療所など中小の医療機関ほど大きな減収要因となると推測されますが、直接的な収入に対する影響もさることながら、報酬改定における患者満足の視点を確りと押さえておきたいところです。
「かかりつけ歯科医初診・再診料」は医師の裁量で患者に請求できる特別な制度で97.5%の診療所が届出をし、7割近くが算定をしていたにもかかわらず、患者からは「指導された覚えがない」との指摘も少なくないとして、残念ながら今回の見直し背景となったようです。
昨年の日本医師会の患者満足調査によれば、届出をしている歯科医師の97%が治療の内容や期間等について説明をしているとし、48.2%の診療所が8割以上の患者さんに治療計画を文書で提供し説明しているという回答がありました。一方、医師からの説明に対する患者の評価は、難しいと感じる44%が易しいと感じる18.8%を大きく上回っていて、必ずしも高くないものの、文書がある場合の方が判りやすいと感じる割合が高かったと結論付けていました。
こうした背景から、「治療計画、指導管理等の内容の文書による情報提供」「診療録添付」「署名による患者の同意」などを算定要件とするなど、患者視点からの指導管理体系の見直しが行われたと考えなければなりません。
実は、私は以前に「時間をかけて口腔内写真等を取られ、次回診療の際に黙って写真入り文書を持ち帰らされた」という体験をしています。
先のアンケート調査の自由意見の中には「文書にしないほうが良い場合もある」「文書を作るには初診料が安い」といったものがありましたが、個人的なことをさておいて、院長とスタッフの意識を一つにして、文書作成と易しい説明の提供を、患者が求める“安心”と“頼りがい”の向上につなげる取り組みの契機としてはいかがでしょうか?
文章:日成コンサルティング株式会社
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